2014年5月19日月曜日

STP基礎(MST)

■MSTについて


MST(Multiple Spanning Tree)

 複数のVLANをグループ(インスタンス)にまとめて、
 インスタンス単位でスパニングツリーを実装する技術の事。
 MSTと利用する事により、トポロジの総数を減らす事が出来る。

  • IEEE802.1Sで標準化されている。
  • STPバージョンは「3」である。
  • RSTPのように高速収束が可能である。
  • 「領域(リージョン)」を使用して、同様のSTPグループを定義する。
  • 各リージョン内はRSTPが有効になります。

 <参考>
  ・IEEE802.1qの場合
   VLANの個数に関係なく、CSTで処理される。
   しかし、VLAN毎にルートブリッジを変更出来ない為、ロードバランシングが出来ない。
  ・RSTPの場合
   VLAN毎に定義されている個別のSTPポリシーで処理される。
   その為、 負荷分散をする事が出来る。
   しかし、 VLAN毎にBPDUをやり取りする為メモリ及びCPUへ負荷や通信帯域幅の消費など、
   影響を与える。
  ・MSTの場合
   前述の長所である「最小限のインスタンス」、「ロードバランシング」を双方実現可能である。
   MSTを活用する事により、ネットワーク管理者が必要なSTPインスタンスを設定する事が出来るようになる。

■ ISTインスタンスとMSTインスタンスについて

  ISTインスタンスとMSTインスタンスを説明する前に、リージョンについて記述する。

  • リージョン
   STP設定を共有するスイッチ群の事。
   1リージョンあたり、MSTインスタンスを最大65個(ISTインスタンス含めて)動作可能である。
   同一のリージョンに属する各スイッチには、以下の設定が同様ある必要があります。
   ※以下の情報が一致しなかった場合は、異なるリージョンとして判断されます。
   ①MSTコンフィグレーション名(32文字)
   ②MSTコンフィグレーションのリビジョン番号(0~65535)
   ③MSTインスタンスとVLANマッピングテーブル(0-4096)
   又、各MSTリージョン内ではプライオリティ/コストなどリージョン内で独自設定する事が可能である。


  • ISTインスタンス(Internal Spanning Tree)
    MSTリージョン外において、
    ループが発生しないようにL2トポロジを維持しているインスタンスの事。
    ISTにより、MSTリージョンを1つの仮想スイッチとして外部スイッチに示す事が可能である。
    尚、MSTリージョン内では、MST BPDUを利用して情報交換を実施し、
    MSTリージョン外では、IST BPDUを利用して情報交換を実現する。
    ※インスタンス番号は「0」を使う。

  • MSTインスタンス
    リージョン内のインスタンスの事。
    尚、情報交換についてはMSTインスタンス毎に、
    MSTリージョン内で送受信されているMST BPDU内にMレコード(M-Record)を付加して情報を伝えます。
    ※インスタンス番号は1~4096を使う

■MSTリージョン間及びリージョン内の動作について

 <MSTリージョン間>

   MSTインスタンスは各リージョンの境界でISTをCSTへ変換します。
   MSTリージョンを1つの仮想スイッチとして外部スイッチへ示します。
   その為、複数のMSTリージョン(仮想スイッチ群)と[存在すれば]802.1Dスイッチを
   CSTで構築します。
   尚、各リージョン間で送受信されるのはIST BPDUのみです。
   MST BPDUは送受信されません。
   ※MSTインスタンスでのロードバランシングが可能ですが、
    リージョン間でのロードバランシングは出来ません。 

 <MSTリージョン内>

   MSTリージョン内のルートスイッチの事を、CISTリージョナルルートと呼ぶ。
   インスタンス内のルートスイッチの事を、インスタンスルートと呼ぶ。
   尚、MSTリージョン内では、

   MST BPDU内にMレコード(M-Record)を付加して情報を伝えます。

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 RSTPについて
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    Postfast、ループガード、BPDUガード等