2014年5月8日木曜日

STP 基礎

■スパニングツリー(STP)とは

  リング状に形成されたレイヤー2ネットワークにおいて、ブロードキャストストームの発生を防止する機能。
  ループを防止する為に、リング状のスイッチのいづれかで転送出来ない状態(ブロック状態)にする事により実現。
  冗長構成を実現出来る非常に便利な機能である反面、設定不備などによるトラブルが多い。

  ・IEEE802.1dで定義されている
  ・ループ発生を防止する為に、BPDUを使用する

    Router(config)# spanning-tree vlan vlan-id 
   ※VLAN毎に無効化する事が可能です。
 STPは以下のように動作する。
 ①ブリッジID選出
 ②ルートポート、指定ポート、非指定ポート算出

■ポートの種類について

 STPのポート種別は、以下の3つがあります。
 ・ルートポート(RP)
   ルートブリッジ以外のSWにおいて選出される。選出方法は、ルートブリッジに最も近いポートへアサインされる。
   本ポートはフレームを受信出来るポートである。
 ・指定ポート(DP)
   各SWにおいてルートブリッジに最も近いポートへアサインされる。
   本ポートはフレームを送信出来るポートである。

 ・非指定ポート(NDP)
   ルートポート及び指定ポート以外のポートの事。
   本ポートはフレームの送受信不可のポートである。しかしBPDUは受信する。

※ルートブリッジへの距離(パスコスト)が同じ場合、
 送信元のブリッジID、送信元ポート番号の優先順位でRP・DPを選出する。

■ルートブリッジの選出について

 スイッチのネットワーク上にて、基準となるスイッチを選出する必要がある。
 それが「ルートブリッジ」です。
 ルートブリッジの選出方法は以下の通りです。

 ◇ブリッジID(ブリッジプライオリティ[2バイト]+MACアドレス[バイト])
  ①ブリッジプライオリティが小さいSW
    
    Router(config)# spanning-tree vlan vlan-id priority priority値 
    ※priority値は0~65,535間で設定可能。デフォルトは、32,768です。

   ↓同じ場合
  ②MACアドレスが小さいSW

■STPのステータスについて

STPには以下4つの状態がある。
   開始
    ↓
①Blocking
  フレームの転送は実施しないが、BPDUの受信は行う
  ※スイッチ初期化時にループが発生しないように、最初はBlockingポートになる。
    ↓  
②Listening
   ポートの選定を実施する為に、BPDUの送受信する
    ↓ 
③Learning
  受信したフレームを基に送信元MACアドレスを学習する
    ↓ 
④Forwarding
  受信したデータフレームを転送する

⑤Disabled
  管理者が意図的にshutdownしている状態

■STPタイマーについて

STPではループフリーなネットワークを実現する為に、頻繁にBPDU通信を実施しております。
STPでは3つのタイマーがあります。

・Helloタイマー(hello)
  BPDUの送信間隔の事。デフォルト2秒

・転送遅延タイマー(Max age)
  リスニングステートからランニングステートにとどまる時間。デフォルト15秒


・最大経過時間タイマー(Forward Delay) 
  BPDUの通信が途絶え、リンク障害が発生したと見なす時間の事。
  最大経過時間を超えると、エージングアウトする。デフォルト20秒