マルチエリア OSPF
ネットワーク規模が大きくなると、ネットワーク障害などによる最短パスの再計算時にルータに強大な負荷がかかります。
又、OSPFでは、SPFアルゴリズムというルータに高い負荷がかかるルーティングプロトコルを使用しています。
マルチエリアのOSPFでは、ネットワークを複数のエリアに分割して、リンクステート情報(LSA)が届く範囲を分割しております。このようなエリア体系をとる事によって、ネットワーク障害などのネットワークの変更の際にLSAをエリア内にとどめる事が出来、ルータの負荷を最小限にする事が出来ます。
>>オススメ記事:「OSPFのエリア分割の必要性! シングルエリアとマルチエリアを解説」
・OSPFルータの種類
・内部ルータ・・・・・・・・・・・・・・・・・ルータのインターフェースすべてが他のエリアに属していないOSPFルータ。・ABR(エリア境界ルータ)・・・・・・・他のエリアに属している異なるエリア間の境界OSPFルータ。
・ASBR(AS境界ルータ)・・・・・・・・OSPF以外のルーティングプロトコルや異なるASに属している境界OSPFルータ。
>>オススメ記事:「DR・BDRの選定基準〜設定方法・障害時の動作を解説」
●DRとBDR
OSPFでは、ネイバー関係を保つためにアジャセンシー(隣接関係)を確立しています。
しかし、OSPFルータが増える程アジャセンシーを確立する数が増えます。
公式 ルータの数 ×(ルータの数 -1)÷2
例>
ルータが5台の時、
5 × ( 5 -1 ) /2 = 10 -> 10個のアジャセンシーが必要
ルータが10台の時
10 × ( 10 - 1 ) /2 = 45 -> 45個のアジャセンシーが必要
このように、ルータの数が増えるほど隣接関係が増加します。
その為に、
ブロードキャストマルチアクセスや非ブロードキャストマルチアクセス(NBMA)では、DRとBDRという概念があります。
※ポイントツーポイントネットワークでは、お互いに1対1で構成されている為選出されません。
DRとは、(代表ルータ)
同じネットワーク内の全OSPFルータをアジャセンシーを確立します。他のルータは、自ルータのLSAをDRに送ります。
DRは、ネットワークの代表として、他のネットワークのルータとLSAの交換したりします。
又、DRが障害などによりdownした場合は、BDRが替わりとなってDRを引き継ぎます。
BDRとは、(バックアップDR)
DRと同様に同じネットワーク内の全OSPFルータをアジャセンシーを確立します。他のルータは、自ルータのLSAをDRに送ります。
DRが障害によってdownした場合、BDRが代わりとなってDRの機能を引き継ぎます。
DROTHERとは
DRとBDR以外のルータ。DROTHERはDRとBDRとアジャセンシーを確率しますが、DROTHERとDROTHER同士はアジャセンシーを確立する必要がありません。
DR、BDRの選出
DRとBDRとは、基本的に以下の順番に数字の大きい値又は、アドレスが優先されます。
①最優先するのは、Priority値による選出(デフォルトでは[1]が設定されている)
Router(config)# interface serial0/0/0
Router(config-if)# ip ospf priority { プロパティー値 }
②ルータIDが大きいルータが選出。
Router(config)# router ospf { プロセス番号 }
Router(config-ospf)# router-id { アドレス }
Router(config)# interface loopback { 番号 }
Router(config-if)# ip ospf priority { アドレス }
※手動で、router-idが設定されていない時は、ループバックのアドレスを使用します。
又、clear ip ospf process を実行しないと反映されません。
Router# clear ip ospf process
③物理インターフェースのIPアドレス
---- 確認コマンド -----
RouterA#show ip ospf neighbor
Neighbor ID Pri State Dead Time Address Interface
2.2.2.2 0 FULL/DROTHER 00:00:36 172.16.0.10 intarface 0/0/0
3.3.3.3 2 FULL/BDR 00:00:29 172.16.0.20 intarface 0/0/0
4.4.4.4 1 FULL/DROTHER 00:00:32 172.16.0.30 intarface 0/0/0
State の代表的な種類
down ・・・・ downしている状態。
attempt ・・・・ アジャセンシーと確立する為に、helloパケットを送信し続けている状態
init ・・・・ 互いのルータはhelloパケットの受信に成功しているが、アジャセンシーまだ確立されていない状態
2way ・・・・ お互いのルータがアジャセンシーを確立した状態。
full ・・・・ お互いのルータがアジャセンシーを確立した状態。[DRとBDR選出も含めた]
>>オススメ記事:「OSPFの状態遷移(Down〜Full)とパケットの種類を解説」
Router#show ip ospf interface intarface 0/0/0
serial0/0/0 is up, line protocol is up
Internet Address 172.16.0.1/24, Area 0
Process ID 1, Router ID 1.1.1.1, Network Type BROADCAST, Cost: 100
Transmit Delay is 1 sec, State DR, Priority 100
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以下省略
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