2011年11月27日日曜日

OSPF マルチエリア 1.DRとBDR



マルチエリア OSPF


ネットワーク規模が大きくなると、ネットワーク障害などによる最短パスの再計算時にルータに強大な負荷がかかります。
又、OSPFでは、SPFアルゴリズムというルータに高い負荷がかかるルーティングプロトコルを使用しています。

マルチエリアのOSPFでは、ネットワークを複数のエリアに分割して、リンクステート情報(LSA)が届く範囲を分割しております。このようなエリア体系をとる事によって、ネットワーク障害などのネットワークの変更の際にLSAをエリア内にとどめる事が出来、ルータの負荷を最小限にする事が出来ます。

>>オススメ記事:OSPFのエリア分割の必要性! シングルエリアとマルチエリアを解説

・OSPFルータの種類

・内部ルータ・・・・・・・・・・・・・・・・・ルータのインターフェースすべてが他のエリアに属していないOSPFルータ。
・ABR(エリア境界ルータ)・・・・・・・他のエリアに属している異なるエリア間の境界OSPFルータ。
・ASBR(AS境界ルータ)・・・・・・・・OSPF以外のルーティングプロトコルや異なるASに属している境界OSPFルータ。

>>オススメ記事:DR・BDRの選定基準〜設定方法・障害時の動作を解説

●DRとBDR


OSPFでは、ネイバー関係を保つためにアジャセンシー(隣接関係)を確立しています。
しかし、OSPFルータが増える程アジャセンシーを確立する数が増えます。

公式 ルータの数 ×(ルータの数 -1)÷2

例>
ルータが5台の時、
5 × ( 5 -1 ) /2 = 10 -> 10個のアジャセンシーが必要

ルータが10台の時
10 × ( 10 - 1 ) /2 = 45 -> 45個のアジャセンシーが必要


このように、ルータの数が増えるほど隣接関係が増加します。

その為に、
ブロードキャストマルチアクセスや非ブロードキャストマルチアクセス(NBMA)では、DRとBDRという概念があります。

※ポイントツーポイントネットワークでは、お互いに1対1で構成されている為選出されません。



DRとは、(代表ルータ)

同じネットワーク内の全OSPFルータをアジャセンシーを確立します。
他のルータは、自ルータのLSAをDRに送ります。
DRは、ネットワークの代表として、他のネットワークのルータとLSAの交換したりします。
又、DRが障害などによりdownした場合は、BDRが替わりとなってDRを引き継ぎます。



BDRとは、(バックアップDR)

DRと同様に同じネットワーク内の全OSPFルータをアジャセンシーを確立します。
他のルータは、自ルータのLSAをDRに送ります。
DRが障害によってdownした場合、BDRが代わりとなってDRの機能を引き継ぎます。


DROTHERとは


DRとBDR以外のルータ。DROTHERはDRとBDRとアジャセンシーを確率しますが、DROTHERとDROTHER同士はアジャセンシーを確立する必要がありません。






DR、BDRの選出


DRとBDRとは、基本的に以下の順番に数字の大きい値又は、アドレスが優先されます。


①最優先するのは、Priority値による選出(デフォルトでは[1]が設定されている)

Router(config)# interface serial0/0/0
Router(config-if)# ip ospf priority { プロパティー値 }

②ルータIDが大きいルータが選出。

Router(config)# router ospf { プロセス番号 }
Router(config-ospf)# router-id { アドレス }

Router(config)# interface loopback { 番号 }
Router(config-if)# ip ospf priority { アドレス }

※手動で、router-idが設定されていない時は、ループバックのアドレスを使用します。
又、clear ip ospf process を実行しないと反映されません。

Router# clear ip ospf process

③物理インターフェースのIPアドレス




---- 確認コマンド -----

RouterA#show ip ospf neighbor

Neighbor ID   Pri     State        Dead Time   Address    Interface
2.2.2.2       0     FULL/DROTHER  00:00:36    172.16.0.10  intarface 0/0/0
3.3.3.3       2     FULL/BDR     00:00:29    172.16.0.20  intarface 0/0/0
4.4.4.4       1     FULL/DROTHER  00:00:32    172.16.0.30  intarface 0/0/0


State の代表的な種類



down   ・・・・ downしている状態。
attempt ・・・・ アジャセンシーと確立する為に、helloパケットを送信し続けている状態
init    ・・・・ 互いのルータはhelloパケットの受信に成功しているが、アジャセンシーまだ確立されていない状態
2way    ・・・・ お互いのルータがアジャセンシーを確立した状態。
full    ・・・・ お互いのルータがアジャセンシーを確立した状態。[DRとBDR選出も含めた]

>>オススメ記事:OSPFの状態遷移(Down〜Full)とパケットの種類を解説


Router#show ip ospf interface intarface 0/0/0
serial0/0/0 is up, line protocol is up
  Internet Address 172.16.0.1/24, Area 0
  Process ID 1, Router ID 1.1.1.1, Network Type BROADCAST, Cost: 100
  Transmit Delay is 1 sec, State DR, Priority 100



以下省略